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ベンチャーハック

どうも。先日はVCからの資金調達について触れましたが、今日も引き続きその路線で。

VCの世界は中々外から分からない部分があって、経験の乏しい起業家にとっては悩ましいところだったのですが、最近は起業家の集合智を活用して、その取引に透明性を求めていくような動きが色々と出てきたように思います。もちろんこれまでも、経験のある人から話を聞くとか、弁護士やアドバイザーの援護を受けるとかはありましたし、今後もそういったことは必要ですが、ネット上から得られるものである程度、知識武装できるようになってきています。

これらは、幸いにもVCから興味を引けた場合に、どのVCと関わっていくのかを選ぶこと、そして資金調達のタームにはどのようなものがありどのように交渉すべきかという視点を得るのに、情報ソースとして役立つものと思います。まだ新しいので情報の質は取捨選択がもちろん必要ですが、今後更に情報提供者が増え、立場のバランスが取れれば中々いいものになっていくのではという感じがします。今日はその内の2つを紹介します。

まずは、Venture Hacks。先日のインキュベーションの話にも出てきたHitForge他のNaval Ravikantと今はAtlas VentureでEntrepreneur in ResidenceをしているNiviの二人が書いているサイトで、その名の通り目指すところはentrepreneur’s guide to hacking venture capital。

起業家にとって資金を調達することは自分のベンチャーを育てていく上で数多くあることの内の一つの行為で、しかも一生のうちに何回あるかという出来事なのに対し、VCにとってはそれが仕事なために、必然的に交渉のパワーに差があることに焦点を当て、その溝をなるべくうめる手助けをしたいという思いで経験をもとに情報を提供しています。

シリーズで情報を出していて、今のところ、termsheet hacks、how to organize a board、それからConvertible Debtについて等のコンテンツがあります。トラックレコードも特になかったり、数多くのVCから声がかかっているようなホットなベンチャーである等のレバレッジがない場合は、ここで上げられたhackは中々活用できないかもしれませんが、それでもかなりの情報量で、非常に勉強になります。

もう一つは、かなりの賛否両論の論議をかもしているThe Funded。こちらはVCファームやそのパートナーの評価と関わった感想などからなるサイトで、VC選びの情報源の一つとして機能していく方向です。嫌な経験をした起業家は場合によっては偏ったネガティブな意見を書くこともありますし、そういった批判を受けたVCが激怒したりといったこともあります。状況の詳細はTechCrunchの記事を参照して頂くと良いと思いますが、初期の評価/被評価の感情的な部分を落ち着けられるようなフェアなシステムが出来上がってくれば、他のどのようなレビューサイトと同様な使い方ができるものだとは思います。

シリコンバレーで資金調達をする方もそうでない方も、勉強になることも多いのでご覧になってみては如何でしょうか。

今日はこんなとこで。皆さん良い週末を。

あのベンチャーに投資してさえいれば…!

どうも。サイトメンテナンスでお騒がせ致しました。ほぼほぼ問題は落ち着いたようなので、通常通りエントリー再開します。何らかの不都合が依然として生じている方、大変申し訳ございません。お手数ですがメールかコメントでご連絡下さい。といっても、そういう方々はこの更新メッセージを受け取っていらっしゃらない可能性が高いんですよね。当たり前ですが。反省。今度大幅に変更をする時は事前にご連絡します。

さて、気を取り直して。今日はVC投資の軽い話を。
いくら投資家側に余剰資金があるとはいえ、VCから資金調達をするというのはご存知の通り簡単なことではありません。時間も労力もかなりかかりますし、やんわりと断られたり、延ばし延ばしにされたり、とまあ試験に落ちたかのように気がへこむことも多いわけです。

ではVCの自分のベンチャーに対する判断は正しいのか?以前のエントリーでも触れましたが、もちろんそうとは限りません。ある時点での投資の判断基準には様々な外的内的要素があり、VCファームごとの特性や得意分野、担当者の知識、リスクの取り方なども異なりますし、絶対的評価はあり得ないのです。様々な観点からの質問や批判については真剣に受け止める必要があるとは思いますが、けちょんけちょんに言われて、どこからも資金を得られなくて、それでも自分の発想を信じるならば前進すべきだと思います。

VCの判断が正しいわけではないことの格好の例として、老舗のBessemer Venture PartnersがAnti-Portfolioという面白いものを自社サイトで掲示しているのでご紹介します。このVCは1911年から事業を継続しており、その長い歴史の中で数多くの成功もあれば、今振り返ると「なんてばかな、もったいない!」と思う案件もたくさんあるとし、投資の機会があったが何らかの理由で見送ったベンチャーでその後大成功したものを簡単なお断り理由と共に公開しているのです。

潔いですよねー。老舗なりの余裕というか粋というか。「このような失敗例を認識することで今後さらに当社をより良い会社に成長させていこうという励みになる。まあ、もしこれらのベンチャーに投資してたら、100年近くも伝統ある事業を継続しないでとっととやめてたかもしれないけどね」とのこと。

ではその例のうち幾つかを引用します。

Apple Computer
BVP had the opportunity to invest in pre-IPO secondary stock in Apple at a $60M valuation. BVP’s Neill Brownstein called it “outrageously expensive.”
(「バリュエーション$60M? ばか高すぎ」)

Check Point
In 1994, Gil Schwed pitched his idea to BVP’s David Cowan, who said that Gil would never get distribution in the US. The next year, Check Point got a huge Sun OEM deal and sold $25M of firewall software.
(「絶対USで展開できないね。」 しかし翌年にはSunとOEM契約し$25Mの売上げが)

eBay
“Stamps? Coins? Comic books? You’ve GOT to be kidding,” thought Cowan. “No-brainer pass.”
(「切手とかコインとかマンガ本?冗談でしょ、間違いなくパスだね」)

Federal Express
Incredibly, BVP passed on Federal Express seven times.
(信じ難いことに我々は7回もフェデックス案件を断った…)

Google
Cowan’s college friend rented her garage to Sergey and Larry for their first year. In 1999 and 2000 she tried to introduce Cowan to “these two really smart Stanford students writing a search engine”. Students? A new search engine? In the most important moment ever for Bessemer’s anti-portfolio, Cowan asked her, “How can I get out of this house without going anywhere near your garage?”
(「学生?新たなサーチエンジン?」と訝しがってあのガレージに近寄らなかった)

Intel
BVP’s Pete Bancroft never quite settled on terms with Bob Noyce, who instead took venture financing from a guy named Arthur Rock.
(タームを詰めないうちに他にいってしまった)

Intuit
Along with every venture capitalist on Sand Hill Road, Neill Brownstein turned down Intuit founder Scott Cook. Scott managed to scrape together only $225K from friends, including HBS classmate and Sierra Ventures founder Peter Wendell, who personally invested $25K to get Scott off his back.
(他の多くのシリコンバレーのVC同様、ファウンダーを却下。彼は自力で友達等から資金を集めた)

Lotus and Compaq (当時Gateway Computer)
Ben Rosen, one of the founders of Sevin Rosen, offered Felda Hardymon the chance to invest in both Lotus and Gateway Computer on the same day. Says Hardymon: “Lotus had just missed a payroll, and I was worried about the situation there. As for Gateway, I told him there was no real future in transportable computers since IBM could do it.”
(「Lotusは給料出せなかったし、Gatewayに関しては将来は無いな。IBMがいるからね。」)

Paypal
David Cowan passed on the Series A round. Rookie team, regulatory nightmare, and, 4 years later, a $1.5 billion acquisition by eBay.
(「経験の乏しいチームだし、規制がある分野なので大変」)

如何でしょう。今だからこそ笑えるものですよね。こうして見ると、Bessemerは全く見る目がないのでは?と思ってしまわなくも無いですが、恐らく東海岸発の老舗ゆえに、テクノロジー特にイノベーションを見極めるのに適切なものを有していなかったのだと思います。これまでのポートフォリオを見るとリテールから何から様々な業界に投資しています。予測のつく大きなマーケットで伝統的なファイナンシャルカーブを描けるようなベンチャーに投資すべきだという発想が根強かったのかもしれません。近年はおそらくシリコンバレーオフィスではテクノロジーに強い人材を有して変化に適応しているとは思います。個人的にお会いしたことがないので分かりませんが。

というわけで、資金調達に苦労している方々はこれをみて笑い飛ばして元気をだしてくださいな。
今日はこんなとこで。