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交渉の掟

どうも。今日は交渉の話です。

交渉というのは企業間の契約や年俸等の大事ではなくても、実は日々の生活の中にも結構あるものです。そのように認識しないものの、「お皿洗うからゴミ出してきて」というのも交渉の一つですし、我々の生活は交渉の積み重ねと言えるかも知れません。それなのに、交渉の仕方については学校教育で教えてくれるわけでもなく(少なくとも私は習ったことはありません)我々の多くは、知識も技術も不足しているのかもしれません。もったいないですよね。

細かい交渉の技術はさておき、良い条件を引き出すために一番効果的なことは何かと言えば、いつでも自分から交渉を打ち切れる状況でいるということだと思います。これは覚悟とかハッタリとかではなくて(時には必要ですが)、常に他の選択肢を用意しておくということです。

例えばVCから資金調達する際に、バリュエーションや役員構成、株主比率等において最適な条件を得るためにはどうするか?

複数のVCと同時に交渉して其々の条件を引き出しつつ、そのVC達がベストオファーを出すべく競争するように促すのです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、余りにも多くの場合、起業家は一社とのみ話を進めて、頓挫したら別の一社と新たに話を進める、というシリアルなプロセスを取りがちだという現状があります。一人で何役もこなす創業者が、日々の業務に奔走しながら資金調達することが多いので、時間的にも制約があり難しくはあるのですが、交渉を優位に進めるには、一時期にできるだけ専念して複数の関係者をマネージする必要があります。

これはM&Aの場合も同様です。自社を売却するにあたり、一社とだけ交渉していては良い条件を引き出すのは非常に困難です。「他社と話していることがA社に知れたら、A社が逃げてしまうのではないか」という心配を時々耳にしますが、そんなことはありません。もちろんA社は大企業vs.ベンチャーによくある立場の差に基づいたその恐怖心を煽るべく仕掛けてきますが、それは交渉の戦術であって、当社がA社の欲するものをもっている場合、A社が離れてしまうことはありません。

ベンチャー企業の売却における、こうしたパラレルな交渉の必要性については他にも様々な要素がありますので、後日また触れたいと思います。

今日はMLBのプレーオフを見ていて遅くなってしまったので、短くこんなとこで。

ではまた。

役職の謎:CTO vs. VP of Engineering

どうも。10月も半ば、Q4はあっという間に過ぎてしまうのが毎年の悩ましいところです。ふと気が付くと、このブログを始めてから既に1年経過しました。早いものです。よく続いたなーと感慨にふけったりしております。

さて、Q4というタームにかこつけて、今日はマネージメントの話をちょっと。

皆さんは役職名の意味することがよく分からず、困ったことはありますか?私はこちらに来た当初、仕事上適切なコンタクト先を検討するに当たり、アメリカ企業の役職名と日本企業のそれを比較したり訳したりするのに、結構苦労した記憶があります。最近は外資系の企業等でアメリカ式の役職を使うことも多く日本国内でも珍しくはないですが、それでも例えばヴァイス・プレジデントって実際何なの?と思われる方は少なくないのではないかと思います。

これらの役職名はある程度の「こういうことやってる、こういうレベルの人」的な共通認識はあるものの、業界、業種、企業によって範囲の差はあります。また、日本は特にそうですが、年次・昇格等にまつわる政治的な理由でポストを無理に作り出すこともあって、外からは何だかよく分からないという役職も至る所に存在しますので、社内でどのような立場の人なのかはその人に聞くまで完全には分かり得ないというのが実情ではあります。

しかしながら、初めてコンタクトをする人はある程度の共通認識で当たりをつけるので、自社内の役職名を考える際や、営業を担当している場合に、こういった認識を把握しておく必要はあると思われます。

前置きが長くなりましたが、そろそろテクノロジーベンチャーの場合に話を移します。テクノロジーベンチャーにおいては当然テクノロジー関連のポストは重要なわけですが、その役職名や業務範囲が結構曖昧だなと感じることが結構あります。ベンチャーのステージやサイズ、国籍にもよりますが、CTOとVP of Engineeringという役職は本来かなり違うものであるにも関わらず、ごちゃまぜになってことが多く見受けられるのです。

では、CTOとVP of Engineeringの違いは何か?VCのBrad Feldのブログエントリーに中々的を射たものがありましたので引用します。

VP of Engineering: They are process / management gods (and goddesses) – totally focused on building and shipping products. Most of them are “medium technical” – strong enough to stand up to the engineers they manage, but not necessarily the best coders on the team….

In contrast, the great CTO’s usually can’t manage their way out of a paper bag, but have huge vision, the ability to pull an all-nighter and crank out a rough prototype of the thing they are thinking about, have the unique ability to translate complex / abstract thoughts into simple English that a non-technical end-user can understand, and a willingness (or even desire) to get up in front of 1,000 people and talk about the latest greatest thing they are working on / thinking about….

端的に言うと、CTOは企業の技術面におけるビジョナリーであり、スーパーギークであり、自社の運命を握る技術(場合によっては製品)のロードマップを描く人です。一方、VP of Engineeringは現実と鑑みてそのビジョンを実行に移すことを率いる部門のマネージャーで、ギークである必要は必ずしもありません。

ただ役職名の使用法が混同しているということだけなら良いのですが、実際は役割自体が混同してしまっているケースも多く、それは問題視すべき事項だと思います。例えばこの二つの違う役割が両方必要だという認識がない場合、或いは役職名はCTOだけれども実際は日々の業務に追われて、企業の成長に必要不可欠な将来の技術(プロダクト)を構想・開発指揮することが出来ていないという場合は要注意です。

ベンチャーの規模が小さいうちはこの役割を一人で兼任することも多いのですが、数が増えるなどして忙しくなると、多くの場合CTOの役割を放棄してしまう後者の状況に陥るケースはよく見られます。上に引用したエントリーでは社員数が20人くらいになったら、両者を専任にすべきだろうといっています。これはケースバイケースですが、日々のオペレーションを離れて戦略的に考えることができる環境を得ることができなくなったら、対応策を早期に取るべきだと心得ておくとよいでしょう。

さて、ちなみにVP(ヴァイス・プレジデント)の話をもう少し。ヴァイスというのが直訳で副となるので紛らわしいのですが、この役職は部長に近いものと考えておくのが適切だと思います。日本の大企業は役職が複雑で部長というとかなりの要職になってしまうのですが、役割としては財務とかエンジニアリングとかR&Dとかの一つのファンクションを統率する人です。日本語の部長に近いものとしてもう一つあるのが、GM(ゼネラルマネジャー)というもの。こちらは基本的にはその部門のP&Lの責任を背負っている人ですので、例えばゲーム部門、携帯事業、など一事業部の長という感じでしょうか。ですので、規模が小さく事業が一つしかないベンチャーにはVPはいてもGMがいることは稀です。一つ注意が必要なのは金融機関のVP。金融機関ではやたらにVPを見ると思いますが、それは意味合いが異なり、この場合部門を率いている人ではないからです。こちらは管理職ではなく中堅で日々の業務をしている人という認識で良いと思います。

ちと取り留めないですが、今日はこんなとこで。ではまた。