tech venture business » Archive of '8月, 2007'

Vator.tv – 人材援護で成功を導けるか?

どうも。このブログでアクセスの多いエントリーを集計して右のコラムに試しに載せているんですが、知らぬ間に、プレゼンの話がトップになっていました。本ブログのコアな内容ではないのでいささか複雑な心境ではあるのですが、やはりプレゼンに悩む方が多いということなのでしょうか。基本編以外にもまた今度書きますね。

さて、今日はプレゼンにちょっと関係する話を。最近書いていなかったのですが、相変わらず月1で行っているSF New Tech Meetupというベンチャーのプレゼン+ネットワーキングイベントで先週見たものをご紹介しようと思います。

先週のイベントは女性起業家というあまりないテーマだったので、女性視聴者も多く、普段Geekでいっぱいの会場はいつもよりは若干華やいでおりました。で、その中でもひときわ華があったのが、Vator.tv というピッチビデオサイトの紹介をした、CEOのBambi Francisco氏。ちょっと場違いなくらいにきれいなお姉さん風で、しかも有力者を結構知っていそうだったので、何事かと思ったら、この方、CNNや Dow Jones MarketWatchでインターネット関連を追っていたジャーナリスト/レポーターだった人なんですね。

このVator.tvはサービスを開始して間もないベンチャーで、ビジネスやテクノロジーのアイディアや自社の製品・サービスなどをピッチ(宣伝)したビデオを掲載したり、閲覧したりできるというサービスです。YouTube等で同様のビデオが掲載されていることもありますが、その目的にフォーカスしたサイトを提供しギブ&テイクができるコミュニティを形成するというのが狙いのようです。社名はイノベーターのエレベーターピッチというところから取ったとか。最初の想定はアイディアをピッチしてVCからの投資を募るというところで、それを拡張していったのでしょう。

こういうサービスは「あったら良いよね」というものではあるのですが、実際に有益に機能させるのはかなり難しいと思うんですよね。どれだけ質の高いビデオコンテンツ及び質の高いユーザーグループを集めひきつけ続けられるか、そしてビデオが多数の一つとして埋もれてしまわないような、見たいコンテンツを的確に見つけ出せる仕組みを埋め込めるかというのが、すぐに頭に浮かぶことですが、中々一筋縄ではいきませんよね。

そして、より根本的な問題は、ビデオというメディアかもしれません。このNew Techイベントでも数多く見ましたが、近頃ビデオ関連のベンチャーがとにかく多いです。みんなそんなにビデオ見るんでしょうか…? 私は殆ど見ません。最大の理由は、要する時間です。編集がしっかりされていないことや内容の説明さえもおろそかなことが多く、要旨を把握するのに無駄にする時間が多すぎると感じるのです。

例えばあるベンチャーのやっていることをHPやニュースで見て興味を持った場合、次のステップとして、ビデオによる簡潔な説明があればとても良いと思うのですが、何の興味も無い時点では見る気がしない場合が多いと思います。ピッチの目的にあわせて掲載ビデオの時間制限をする等の仕組みは最低限必要な気がします。

かなり否定的なことを言ってますが、一つ面白いなと思ったのは、Competitionsという仕組みがあって、雑誌やカンファレンスやVCがテーマを決めて主催するコンペでそれにビデオ応募することができるものです。現在進行中のものでは、雑誌AlwaysOn主催のクリーンテクノロジー、 Pequot Ventures主催のビデオゲーム等のコンペがあります。テーマと仕組みがしっかりあれば、それなりに利用価値もあるかもしれないですね。

そして、このVator.tvはもしかしたら機能する可能性もあります。というのは、背後の人々が中々の顔ぶれだからです。先に述べたCEOがネット業界そしてVCコミュニティにかなり深いネットワークを持っていること、そしてそれを反映するかのように、PayPalファウンダーでVCのPeter Thiel、MySpace前会長のRichard Rosenblatt、そして以前GoogleのAdSenseを担当していたGeorges Harikなどがエンジェルとして既にバックアップしているんですね。こうしたネットワークを駆使して良質なユーザー及びコンテンツを集め、経験ある関係者が頭と力をあわせれば、上手くいくかもしれません。まあもちろん、大失敗もありですけどね。

さて、どうなることやら。ご興味のある方は自社のピッチビデオを投稿してみては如何でしょうか。
今日はこんなとこで。ではまた。

P.S. あ、お知らせなのですが、8月27日の週に東京に行きます。せっかくだから会ってやろうかという方、会うべき人をご紹介してくださる方、もしいらっしゃったら、お手数ですがメール(techventurebusiness at yahoo dot co dot jp)にてご連絡いただけますか。宜しくお願いします。

労働者階級のミリオネア!?

どうも。子供の頃、「1億円あったら何に使う?」という類の他愛無いQ&Aがよくありましたよね。大人になると、さすがに1億円では働かずに家族を一生養うのは無理だということは分かってしまうわけですが、ではいくらなら?というのが今日の話。

週末のNew York TimesにIn Silicon Valley, Millionaires Who Don’t Feel Rich (シリコンバレーでは億万長者もリッチとは感じない)という記事がありました。ベンチャーで働いたり、起業したりしてストックオプション等で数億円という一般的に見ればかなりの大金を得た人々が、その生活レベルを維持するにはそれでは足りないと不安に陥りながら、せっせと週に60時間から80時間も働き、いつリタイアできるかも怪しいと考えているという内容です。この記事では彼らをいわばworking-class millionaires だとしています。

いやー、何というか、淋しいですね、これ。確かにシリコンバレーの場合、実力やら運やらで大金を儲けた人が沢山いるので、確かに上には上がいますし、土地や住宅は高いのは事実ですが、それでもやはり、視野が狭すぎるのではないかと思ってしまいますね、庶民の私は。お金があっても好きで働いているのなら何の問題もないのですが、直近の社交関係や上ばかりを見て、悲観的になるのは本末転倒ですし、幾らお金があっても自分の価値観の軸がなくていつまでも他人と比較し続けるのは不幸だと思います。ウォールストリートで働く金融関係の人も同様の問題がありますけど。

シリコンバレーに来て起業して一山当てようという方、もちろん大歓迎ですが、そのお金をどのように使ってどのようなライフスタイルをもって生きていきたいかということは、しっかり考えておく事をお勧めします。そして、その際には、シリコンバレーに留まって下さるようお願いします。くれぐれもサンフランシスコに更なるインフレを持ち込まないように。

暗い気分になってしまった方は、こちらのサイトで、自分が世界中でどれだけ恵まれているかチェックして見て下さいね。

今日はこんなとこで。ではまた。