tech venture business » Page 'やはり基本はProblem & Solution…'

やはり基本はProblem & Solution…

昨日は先月にもお伝えしたNew Tech Meetupに参加してきました。今回はスポンサーであるCnetの宣伝CnetTVを除いては、4社がプレゼンとQ&Aをしました。そのうち3つがWeb2.0の部類のものです。

個々のベンチャーに対してはその場でプレゼンを聞いただけの知識しかないので言及は避けますが、全体として、あんまりワクワクするものではありませんでした。ちょっとWeb2.0系のものに食傷気味なのかもと感じるのと同時に、何というか違和感を覚えました。その違和感がどこからくるのかとその後暫く考えていたのですが、多分それは起業する際の視点にあるのではないかと思います。

更にいうと、それは多分、問題を解決するという方向から発していない感じがするのです。

私はテクノロジーベンチャーは何がしかの問題(プロブレム)をテクノロジーをある程度活用することで解決するもの(ソリューション)であるべきだと思っています。このプロブレムというのは”市場のニーズ’というマーケティング的な概念とは必ずしも一致しません。なので市場からのプルか技術のプッシュかという二元論的な議論ともちょっと違うと思うのです。このプロブレムの抽出には大小様々なものがあるでしょう。例えば、「テレビとかでやっている既存のコンテンツはつまらない。一般庶民のオリジナルコンテンツや既存のコンテンツをある視点で切り貼りしたクリップとかには新鮮で面白いものがネット上に散らばってあったりする。でもそれを集積して大衆に広く放映する仕組みがない」というのもプロブレムなら、「既存の携帯電話のナビゲーションはボタンをたくさん押さなければならず煩雑すぎる」というのもプロブレムだし、「消費電力を抑えたまま性能を2倍にするグラフィックチップがない」とかもプロブレムなわけです。そしてそれに対するソリューションは多数ありその最適解を実現するのが醍醐味だと思うのです。

それが最近見かけるウェブ系のベンチャーの場合、いわゆるWeb2.0と見なされる要素を組み合わせたり、既存のサービスにちょっと違うフレーバーをたすというところから始めて、この問題と解決というのがあったとしても後付しているようなにおいがするのことが多いのです。そのフレーバーのつけ方にしても例えばユーザーを趣味の軸で絞れば広告収入が入りやすいかも、というような発想から逆に落とし込んでいるような気がするのです。下の図はWiredの Build a Web 2.0 Startup!からの引用です。その他、こういうフレーズジェネレーターなんかもあります。これは全く冗談なのですが、皮肉にもこれと大差ないようなベンチャーが結構あります。

Build a web 2.0 company

Build a web 2.0 company

これはある意味では”Web2.0″という言葉がブーム化して一人歩きしてしまったことの弊害なのだと思います。ある新たな取り組みが生まれそれがトレンドやその兆候として見られたときに、そのもやもやを共有できる概念として言葉に落とし、その概念を議論して定義づけていくということは、それはそれで非常に意義のあることです。でもそうして与えられた言葉は記号であって、ある時代を斬ったり、複数の企業を比較するためにグループ化するのに外部の批評家やアナリスト等が使ったり、或いは自社のイメージを一定の方向性に見せるために使ったりと、他の人にそれが何であるかを分かりやすくに伝えるために便宜的に使われることで意味を成すのです。その定義から逆流して何かを作るのは本末転倒で、Web2.0企業になるのだ!と本気で思っていない限りやってはいけません。(そう思っている時点で方向は間違っているのですが…)そんな制約の中では新しいことは出てきようがないのです。

例えばスタバ好きの人だけのSNSで、あらゆるスタバの位置がグーグルマップとMashupされていて、しかもユーザーがスタバで撮った写真や世界各国のスタバの写真を共有し、広告はグーグルとスタバから…なんていうのは、もうお腹いっぱいすぎです。スタバっていうユーザーの切り口が差別化なんだ、なんて後付で言われるかもしれませんが、既存の仕組みでそういったサブグループのコミュニティーが作れない分けないですよね。つまりそこにはプロブレムがそもそも存在してないのです。

それならば、敢えてこの一連の動きで見過ごされている様な、どのSNSにも参加したくない人にスポットを当てて問題を抽出してみるとか、私みたいにもうこれ以上情報が増え続けるような仕組みよりも整理する仕組みを考えてほしいと騒いでいるような人に耳を傾けるとかしては如何でしょうか。現在誰も取り組んでいない問題を抽出したり、この騒ぎが終わった後にどういう問題が新たに生まれているかを見越してそのソリューション作りに取り掛かったりと、どんなに小さいことでも良いから問題を見つけてその最適解を見つけて欲しいのです。

その抽出した問題が他の人が気にかけないようなものである場合もないとは言えません。特にアカデミックなテクノロジーの問題を解決しようという場合に多いです。ですが、そのコアテクノロジーをプロダクトにする際のパッケージングの仕方、アプリケーションの仕方は色々とあるわけで市場の波に合わせてなんらかの価値を生み出すことができるように思います。

そんなトップダウンじゃなくて作ってみたら便利だったというのもありではないか、と反論されるかもしれません。私はそれはやり方の違いなだけのように思います。そもそも作ってみようと思った理由はあるはずで、多分自分の知っている限りそういうものが身近にないから、とかあっても使い勝手が悪いから、ということが多いはずです。その理由部分を概念として先に落とすか、それともそれをプロトタイプを構築していくことで表現するかということの違いなのではないでしょうか。だとすると、勿論どちらもありでしょう。それは問題・解決の後付ではなくて、手を動かしながらではないと問題を明確しえないという表現方法の違いだからです。

何らかの問題を解決しない限り存在意義がない、というのはちょっとキツすぎる表現ですかね。

One comment to “やはり基本はProblem & Solution…”

  1. ウワサのMySpace #3…

    SNSのユニーク訪問者数では、「MySpace」の5,144万人がトップで、圧倒的に・・・ (more…)

Leave a comment

XHTML - You can use:<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>