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リーンスタートアップの実践

しばらく前にシリーズとして書いていたリーンスタートアップについてですが、そういえば最近ご無沙汰気味だったので今日はその件を。

本ブログ及びSlideshareでリーンスタートアップのすごく簡易なまとめをいくつか掲載しているんですが、お蔭様で多数の方々が閲覧して下さっているようです。特にMVPはなんと65,000弱の閲覧数。ほんまかいな。

まあ、いずれにせよ関心が高いようですので、今後またリーン関連には力をいれることにします。もうちょっと色々書くつもりでいたのが延び延びになってしまっていましたし。

さて、関心の高さにもかかわらず、日本での実践ケースをあまり目にすることがないという実情がありますが、今日は、数少ない例として、お友達のスタートアップTokyo Otaku Modeの話をシェアします。

Tokyo Otaku Modeは日本が誇るポップカルチャー(主にオタク文化)を世界に発信するスタートアップですが、創業当時は皆本業を抱えながらサイドで行ったプロジェクトであったにも関わらず、現在ではFacebookページで1400万弱の驚異的いいね数を誇るとっても人気のあるサービスへと加速成長中であります。

その成長の秘訣のひとつはリーンスタートアップの実践のようです。社内ではリーンスタートアップの書籍の要点をわかりやすい日本語でまとめて共有しているとのこと。詳細はブログ記事「リーン・スタートアップを実践して分かった5つのこと」で垣間見ることができます。記事ではリーンスタートアップとは何か、気をつけるべき点・重要な点は何かなどに触れていて、リーンスタートアップに関する日本語の文献としては非常に包括的でわかりやすいものだと思います。ぜひご参照あれ。

関心の高いMVPという概念は、何となく分かるようでいてでも実際に把握するのが難しいものだと思います。記事中にTokyo Otaku ModeがECサービスを始める際の例がありますので、以下抜粋します。

ちなみに、Tokyo Otaku Modeでは、日本のアニメグッズを海外に販売する海外ECを主力事業として進めていっていますが、最初は複数商品を購入できるショッピングカート機能と いう、ECでは当たり前の機能さえなかったのです。僕が考える海外ECの最低限の機能は、「商品が買える」「商品がお客さんに届く」こと。これ以上は 「リーン・スタートアップ」の概念からすると余計な機能です。「複数の商品がまとめて買える」機能はおろか、最初は「購入ページ」が1枚あるだけで、 「トップページ」も「商品の一覧ページ」もありませんでした。そもそもニュースメディアだったTokyo Otaku Modeのファンが海外ECというサービスを使ってくれるかどうかわからない状況では、「お客さんが海外ECサービスを使ってくれるかどうか」の検証がま ず先なのですね。

端的に言うとかなりのそもそも論を検証するのがMVPの役割です。MVPには様々な形がありますが、鍵は、検証すべきことは何かをきちんと一歩引いて考え、それを検証するのにもっとも近道となることを具現化することです。最小限機能のサイトかもしれないし、動画やパワーポイント、或いは人力とのコンボという場合もあります。これには常識やそれまでのやり方から一歩離れて考える必要があり、クリエイティビティが要求されます。このような他社の事例を見てみるのもアイディアの参考になるでしょう。

他にも有用な点がたくさんありますので、ぜひ上記ブログ記事読んでみてください。

では今日はこの辺で。

サービス提供側ユーザーの増やし方

ちょっと間があきましたが、あらためて。

初期のユーザー獲得はそれ自体一筋縄ではいかないですが、何らかの市場(マーケット)的なサービスを自社がプラットフォームとなって提供する場合、エンドユーザーとサービス提供者の双方を獲得してスケールしていく必要があり、それはまた新たなチャレンジがありますよね。

こういうサービスの場合は、鶏と卵の部分もありますが、初期は供給側の数を増やすのが鉄則です。買うものや受講するもの自体がなければ始まらないですから。

ではどうやってユーザーもいないなかで供給側を増やすのかというと、色々とやり方はあると思いますが、最も一般的なのは、供給側の対象を洗い出してコンタクトしてベネフィットを説明して口説き落とす、ということでしょう。このやり方は、類似のサービスが既にあり、「あのサービスよりも良いので使ってみて」という話しをする場合には結構すんなりいく場合も多いですが、サービス自体が目新しいものの場合、かなり苦戦します。

その場合は、まずは少数の成功事例を作ることに徹するのが良いようです。この場合の成功事例は例えば「Aさんはこのマーケットでオンラインコースを提供して3ヶ月で500万円稼ぎました」みたいな、分かりやすく定量的なものが効果絶大。そうすることで供給側はオーガニックに口コミで増える確率がかなり高まります。

その事例を作るためには、その後のスケールは気にせず、できることは何でもやってみるべきだと思います。例えばAirbnbではファウンダーが提供者の部屋の写真を一軒一軒自ら取りにいったとか、その他にもいわゆるベタな話しを多く聞くと思います。こういう類のスケールは軌道に乗ってから考えれば良いので、まずはとにかく提供者の成功を支援するためにいろいろ手を尽くすわけです。

で、成功事例が得られたら、それを使って上手くプロモートする術を考える必要がありますが、きちんとできていれば、初期の獲得に比べてどんどん楽になるはずです。

もう一つは、市場の種類にもよりますが、他のサービスとリンクしたり、CCなど何らかのライセンス下で流用できるものを活用して、提供するものの絶対数を短期間に増やすというものあります。こちらは工数が少ない広く浅くの作業ですので、上記と組み合わせてやるのが良いかと。

重要なのは、初期の時点で有料広告等の自動的な方法で供給側の数をがんがん増やそうと考えないことだと思います。まず無駄遣いになりますし、重要なフィードバックが得られません。一見遠回りに見えても、使う人にかなり密接して経験をおさえ製品を改善し、同時に全体のボリュームや信頼度を上げる努力をする、というのが実は近道になるはずです。

具体的な例を見るのが分かりやすいと思いますので、興味がある方はぜひ、Udemyがどのように最初の5000コース提供者を獲得したか、というQuoraでのQ&Aを見てみてください。

では今日はこの辺で。