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内向的な人へのカンファレンスサバイバル術

かなり前にCEOには内向的な人も多いという話を書きましたが、そのせいか、内向的というキーワードでこのブログにたどり着く人が多くいらっしゃるようで。お悩みの皆さん、こんにちは。

内向的というと内気だとかひきこもりなイメージがあるかもしれませんが、実際はそういうわけではありません(そういう人も多いのは確かですが)。定義としては、社交的な場では疲弊してしまい、活力を取り戻すには一人の時間を必要とする人を意味します。外向的とはその逆で、人といると活力に満ち溢れるものの一人でいるのが苦手なタイプです。実に内向的な人は世の中の35%-50%を占めているとのこと。全然めずらしい話じゃありません。

ですが、ビジネス上、内向的だと面倒なことは結構あったりします。何せビジネスの殆どは人と関わる必要がありますが、人とずっと関わっているとどっと疲れちゃうわけですから。特にパーティーとかカンファレンスはきついですよね。

そこで、内向的な人がどうカンファレンスを乗り切って且つ乗り切るだけじゃなく最大限に活用できるか、についてHubSpotのファウンダーDharmesh Shahが書いていたので以下要点を紹介します。

1. リチャージする時間を予め組み込んでおく

セッションの合間などに、ホテルの部屋に30分戻るとか、散歩するとか、何でも良いから自分にあうもので他人から離れる時間を織り込むこと。そのことでリフレッシュできて夜までがんばれる。

2.セッション中にリチャージする

折角の機会を失いたくない、時間が取れないなどの場合は、セッション中にリチャージ。観客の多いセッションに参加すれば、セッション中頭を下げてパソコンやタブレットに没頭していても何の問題もない。コツはセッションの始まる直前に参加し(講演者の話がはじまると話しかけられる可能性は低いので)席は目立たない後ろの方や角を選ぶ(たまに最後列だと公演中も話しかけてくる人がいるので要注意)。セッション中は話を聞きながら内容をTweetしたりして直接人と関わらずかつ緩く関わって後で挨拶する可能性につなげるのがお勧め。

3.インバウンドのネットワーキングを心がける

大きな会場で誰にでも話しかけるというネットワーキングスタイルは内向的な人が苦手とするところ。であれば、自分の得意なリサーチなどのスキルを応用したり、会う人を少人数に限定する形でネットワーキングすればよい。予め会いたい人にオンライン上でメッセージを送っておき、何を言うか考えておいて、会場で挨拶するのも一案。また、ブログ等を書いていれば、例えば「SXSWで会いたい42人」のようなエントリーを書くのもおつ。その記事を読んで向こうから直接コンタクトしてくれる場合もあるし、読んだ人が知り合いで紹介してくれることもある。

4.知り合いに知り合いを紹介してもらう

だいたい知り合いの誰もが一人は「この人に会うといいよ」という人を知っているもの。その人にその場で紹介してもらうとスムーズ。

5.自分が通常参加しないセッションに一つは参加してみる

多くの人は自分が既に興味があることや信じていることを聞きたい傾向がある。自分の殻を破る意味でも、意見や立場が異なる人と知り合う上でも、普段は選ばないものに参加してみると良い。その際に「聞いた話しの中で一つは必ず実行しよう」と心に決めて臨むと、批判的ではなく建設的に聞くことができる。そして、セッション終了後誰かに「このセッションで学ぶことはないと思ってたけど、意外に良かった。xyzの発見があった」などといって話しかけるとよい。そういう話に好感を持つ人は多く、会話が弾みやすい。

6.リターンの最大化を計画する

カンファレンスで良い話やアイディアをたくさんメモってきたのに、帰ってきたら引き出しにしまったまんまで時が過ぎる、というのは良くあるがもったいない。ここでは内向的な部分を効果的に活用して、カンファレンスから帰った翌日の半日はその整理に当てよう。学んだことを確認したり、実行計画をつくったりするのだ。既に数日会社を離れていてメールや仕事が溜まっているのは承知だが、この数時間をこのタイミングでかけることの意義はとても大きい。

7. 大事なところで活躍できるようメリハリをつける

セッションで講演をしたり、大事な顧客との夕食があったり、ユーザーグループとの懇親があったりと、自分がかなりオンな状況でなくてはならないときがある。そこで最大限の効果を発揮できるよう、その直前にかならずリチャージすること。優先順位付けは必須。

8. 常に自分が得意なことをする

内向的な人の多くは、話すのよりも聞くのが得意。特に一対一の会話で聞き役に回るのが得意。であれば、良い聞き役に徹しよう。話をじっくり聞いて良い質問をするのは、関係作りに最も効果的。<これ、特にアメリカでは良く言われます。皆自分の話を聞いてくれる人が好きだ、とのこと>

如何でしょう。まずは「無理に外交的に振舞わなくてはいけない」という概念を捨てて、自分のできるやりかたでやる、という頭の切り替えが必要なのかと思います。ぜひお試しあれ。

では今日はこの辺で。

 

アプリ内課金の評価指標

スマートフォンアプリのビジネスモデルの柱ともいえるアプリ内課金ですが、その有効性を正しく認識し、必要な手を打てているでしょうか?

その為にはまずは正しい指標を正しく計測してモニターすることが重要ですが、皆さんはどんな指標を使ってますか?GoogleやZyngaでPMなどをやっていたKenton Kivestuが「単純なARPUだけでは足りない」として、ファイナンスで良く出てくるROEのDuPont分析からアイディアを得た指標について述べています。

彼が一案として提唱しているのはTPR(Transactions Payers Revenue)方程式という以下のものです。

さて、この方程式の要素を個別に見てましょう。

Rev/DAU - これはいわゆるARPUですね。どれだけユーザーをマネタイズできているかの全体的な指標です。

Payers/DAU - これはデイリーユーザーのうちどれだけの人がお金を払っているか。

Revenue/Transactions - これは各トランザクションが幾らの価値だったか、ということ。数種類の価格帯を提供している場合に必要です。

Transactions/Payers - これは有料ユーザーが平均何回トランザクションをおこなったかを示します。

彼は記事中で二つのプロダクトの例をあげています。デイリーユーザー、一日の売上げ、ARPU、全てが同じプロダクトがあるとします。これしか指標をとっていないと何の違いも見られません。ところがひとつ深彫りして、有料ユーザー数、トランザクション数をみると、違った絵が見えてきます。それらを上記の方程式上の指標で計算して見てみると、どうでしょう、以下のチャートのような結果になります。

製品Bの場合、有料ユーザーの割合が既に5%あり、これはかなり良い数字です。なので、これをもっと上げようと考え施策を打っているとすると、ストレスが溜まるはずです。がんばって5.1%になったとしても、収益へのインパクトは多くありません。むしろ、トランザクションごとの収益は非常に少なく伸びしろが大きいので、そこにフォーカスすべきでしょう。

単純な例ではありますが、現実的には、アプリに限らず、きちんと見るべきものを見ていないが故にトンチンカンな施策をうっている場合はたくさんあります。無駄な労力で疲弊しないよう、マネジメントにあたっている人たちは、このへんきちんと考えましょうね~。

では今日はこの辺で。