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軸を持ち信じて行動すること

どうも。明日20日は米大統領の就任式で、この歴史的瞬間を肌で感じようと各地からワシントンDC入りする人がたくさんいて、大変盛り上がっております。

11月の選挙からこれまで、人々の関心が高いせいもあってか、移行に関する報道でアメリカの政治に関する基礎的な背景を説明するものも多く、色々学びましたが、その中でもかなり驚いたというか違和感があったことがあります。

それは「こんな平和的な政権交代ができるのはアメリカだけ」という趣旨のもの。いつの時代の話をしてるんだろ、開発途上国でもあるまいし、と思ったわけですが、実際そのようなセンチメントを語る人が周りでも多いのです。アメリカでは外の世界や歴史を知らない人が多く、事実無根の「アメリカがベスト」みたいな意見は様々な面で見受けられるので、今回もそれかと思っていたら、それがそうでもないようなんですね。それ程政権というものがおおごとで○○朝とかダイナスティーって感じなのか、それともそもそも「他の先進国と比較して」という基準で考えないのか、うーんどうなんでしょうか。明日の予定を見ると、オバマ大統領就任の儀式後にはブッシュ夫妻はヘリコプターでホワイトハウスから退場するというドラマチックなことになっているようです。

それはさておき、アメリカの強みは、建国理念に基づいて真剣な議論をし方向性を定めることができることなのではないかと思います。国の歴史が浅いからこそできるという一面ももちろんありますが、アメリカはその分多種多様な人からなる国であるという難しさを抱えているわけです。国であれ企業であれ、組織においてミッションや行動指針という拠所がしっかりしているということは、やはりとても重要なことだと思います。何かがおかしくなってしまった時に、変わりはしないとただ悲観的になったり、昔は良かったと懐古的になったりせずに、皆が共有する原則と照らし合わせて方向修正できる可能性がありますよね。もちろんリーダーシップが必要ですが。

それからオバマ氏が強調している「believe」ということの重要さについては、今回の選挙を通じて非常にインスパイアされました。周りからナイーブと言われようが、「できるわけがない」と言われようが、ぶれる事なく行動すること。シニカルになることが大人になることだというような呪縛から逃れて、個々人が信条に基づいて生きていくことができればと思います。組織を変えることに比べれば、高々数十年の個人の人生の方向転換など小さいことなのかもしれません。

今、彼の「Dreams from my father」(訳本のタイトルはなぜかマイ・ドリームですが)を読んでいるのですが、その信念がどのような経験を通じて形成されてきたかに触れることができ、非常に良いです。何かをもてあましている感のある方には特にお薦めです。うだうだせずにポジティブにいきたいですね。

では取り留めないですが、前夜ということで。

ではまた。

「Work 101」

どうも。今日は仕事における処世術について、先日たまたま本屋さんで手にした本が面白かったので、紹介したいと思います。

組織の中で自分のやりたいことを実現し、人から認められ、昇進したり等することは、残念ながらそれ程容易なことではありませんよね。良い仕事さえしていれば上手くいくはずだというわけではなく、暗黙の了解、不文律が結構あるものです。人によっては早い時点でそういったものを感じ取ってサラッと世を渡っていくのですが、私はあまり得意ではないですし、若い頃を思い返せば、そういった不文律の存在に対しても本当に鈍かったなぁと思います。

この本は社会に出る学生や新社会人向けに、時には厳しく、時にはユーモアたっぷりに本音を伝え、その現実を踏まえた上でどのように自分にプラスになるようにしていくかを、詳細にアドバイスしています。ビジネスランチの作法から、社内外での人脈の築き方、苦手な上司の対処法、自分の実績のアピールの仕方、仕事の辞め方から次の職探しまで、かなり実践的な内容です。

アメリカ(特に西海岸)の多くの企業はカジュアル且つフレンドリーなので、一見何でもありのように感じますが、実はそういった不文律は結構ありますし、また人の回転が速く、下の人を育てるというカルチャーがあまりないので個人個人がゲームのルールを理解して処世術を身につけていくことは、ある意味日本でよりも重要だったりします。アメリカの企業に勤めていて、そのことを薄々感じていらっしゃる方、一読の価値はあると思います。

どちらかというと大企業で生き延びるという視点で書かれていますが、小さな組織でも役立つことは少なくありません。自社内においてもそうですし、また、自分の顧客が大企業である場合、担当者の置かれている立場を理解するという意味でも非常に為になります。他の企業で働いた経験がないまま起業した方々には特に、顧客やパートナー企業の方々との関係を築いていく上で、「あちら」の世界を垣間見ることができるので役に立つと思います。

日本でも最近は転職当たり前の世界になってきていますから、適応できる部分もあるかと思いますし、日米カルチャー比較としても面白いと思いますので、興味のある方はぜひ。

日本企業でのこういった不文律について良い本がありましたら、ぜひ教えて下さい。