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限られた資金をどう活かすか

どうも。今日はベンチャー企業におけるお金の使い方の話です。

本日のブログ界ではJason Calacanisが記したベンチャーにおける節約法に関して、かなり大騒ぎになっていました。こうしたリストに賛否両論色々とあるのは当然なのですが、オリジナルのエントリーでは「ワーカホリックでなければだめだ」という趣旨に取られかねない言い回しがあったために相当揉めたようです。ま、それは良しとして、興味のある方はIDEA*IDEAで日本語訳をどうぞ。

リストの一つ一つに関してコメントはしませんが、お金の使い方に関して私が重要だと思う点をまずは3点あげて、後に詳述したいと思います。

1. 節約は絶対

2. 節約といえども、全てにケチケチすれば良いかというとそうとも言えず、要は賢く使うことが重要

3. チームの一人一人が当事者意識を持つようにする

まず、1に関して。資金は限られていますし、資金調達は簡単ではありません。あとちょっとというところで結果が出せず、敢無く倒れるベンチャーは多いです。節約していれば一日でも長く生きられます。エンジェル段階ではジリ貧生活をしていても、VCラウンドで多額の資金を運良く得ると浪費するベンチャーも多いので、要注意です。

2に関しては、英語ではPenny wise, pound foolishという言葉があります。小額をけちって大きな損をするという趣旨ですね。偏見かもしれませんが、日本人は一般的に節約は得意な人が多いのですが、戦略的に使うところには使うという事が不得意な傾向があるように感じます。例えば真夏に定時終了後エアコンを切ってしまう等ですね。それで生産性が下がったり、身体を壊す人がでたりしたら損害は返って大きいはずです。

元記事のリストで言えば、エンジニア個々人に固定電話は与えず、机も安価なもので良いが、良質な椅子を提供すべし、というのはこの賢く使うことの例だと思います。コーヒーやランチを会社で供する件も、社員からそうした要望があったり、それによって社員に感謝の気持ちを示せたり、社員同士の交流を促したり等ができるならば価値があることだと思います。但し、「ムダ時間」を省くというつもりで社員の息抜きを奪って長い時間デスクに縛りつけようというのであれば賛同しかねます。

他には例えば、サービス料を払っても見合うような外注すべきものはして、各々が本来すべき仕事に注力できるようにする。或いは通常は飛行機でエコノミーを利用するけれども、前の日に現地入り出来ず、着いた直後に大事な大事なプレゼンがあるために、しっかり休んでおく必要がある場合は格安ビジネスクラスを利用するとかですね。10時間飛行機に乗っても直後からバリバリいけるマッチョな方には必要ないかもしれませんが、皆にそれを強制するのはちょっと酷かと。それ以外の事情ではCEOたりともビジネスクラスは無駄遣いだとは思いますが。

3については、コストだけではないのですが、社員其々が自分の行動がどのような影響をもたらすかということを、良い意味でも悪い意味でも認識する必要があると思うのです。これは言うは易し、という範疇のものかもしれません。オーナーやマネジメント側と従業員側がwin-winの関係でないと、そういう意識は醸成されないのかなとも思います。

例えば、大企業で働いていると、節約をすることで自分のボーナスがあがるわけではないですし、そもそも利用されている感が強いので、備品やら経費やらなるべく多くの個人的利益を「福利厚生」としてもぎ取ろうという意識があったりするものです。そこまででなくても「自分の仕事を遂行するためのものは会社が用意して当然」というのはある程度の規模の企業で働いている従業員には常識かもしれません。それはごもっともなのですが、ベンチャー企業やスモールビジネスでは必ずしも最初からそうは行かないのです。そうした重荷が一時的にせよ社員其々の自助努力に委ねられてしまった時に、社員がそのコストを上回る将来的な利益があると信じられない場合、モチベーション低下は必至でしょう。

卑近な例ですが、以前大企業で働いていた時に仕事に必要な本に自腹(金銭的+時間的)を切ることに非常に抵抗感があったことがありましたが、今の小さな会社に移ってからは、勉強することは自分のためにもなるし、会社にとってもそれによって収益のバイを拡大できれば、本に払った額よりも大きなリターンがあるだろうというような意識に変わりました。そういった意識は本などの小さなことから、社内の課題を自分で見つけては解決するというような前向きな行動にも影響するように思います。

お金や物というハードと、組織で働く人間の個々の心理、というものの兼ね合いが単純ではないからこそ難しい問題なのかもしれないですね。

如何でしょうか。皆さんは工夫されていること、失敗したこと、などありますか?

それでは今日はこの辺で。ではまた。

「当社は素晴しい」の愚

どうも。前にも触れた事がある気がしますが、自社の利点やスバラしさをどのように伝えるかというのは、奥の深い問題です。これという一つの解決策があるわけではないのですが、やってはいけないこと、或いはやっても効果がないこと、というのには幾つか明確なものがあると思います。

その一つが、スバラしさを伝えるために、「これはスバラしい」と自ら言ってしまうこと。そんな馬鹿なことをするわけがない、と思われるかもしれませんが、実は様々な形容詞に形を変えはするものの、かなり頻繁に遭遇しますし、多くの方も気づかずにやってしまっているかもしれません。

例えば、「革新的な」技術、「有能な」社員、「他に類を見ない」成長率、等ですね。アメリカの方が、ちょっと大げさかつ自信満々に振舞うことが多いため、こうした形容詞の頻度も更に高いような印象ですが、洋の東西を問わず、こういった表現は見られます。クライアントのウェブサイトであれ、プレゼン資料であれ、こういった表現が一つも無いものに出会うことの方が少ないかもしれません。

これらの表現の問題は、一つは具体的ではないこと、二つ目が、それ故ただの宣伝文句として陳腐に聞こえるために、期待通りの効果をもたらさないことにあります。ではどうするかと言うと、事実で示すようにすることです。例えば、「一流企業の」顧客がいるのであれば、いくつか本当に一流と目される企業名をさらっと列挙して「一流の」という形容詞は省くのです。

我々がクライアントを売却先候補に紹介する際に作る資料では、第一印象に細心の注意が必要なため、日々こうした表現を見てはカチンとし改善に格闘しているわけですが、今日見た記事で、実は私がなぜカチンとくるまで反応しているかの理由が分かりました。それは、これらの表現の三つ目の問題として、実はこれらは判断の押し付けである、というのがあるんですね。

例えば先程の顧客企業の例だと、企業名を列挙してくれれば、それはどんな顧客層かということを私は自分で判断できます。売上げのデータやグラフを見せてくれれば、それがどういう意味をもつのかはこちらで分析できます。その結果、発言者と意見が一致することもあれば、しないこともあります。ですが、それは押し付けよりはずっと良いことだと思うのです。

一つの事実から異なる解釈が生まれることは当然ですし、それに対して議論することは建設的であって、何かしらの誤解があればその過程で解くことも可能です。それが意見を最初から押し付けようとすると、返ってくるのは反発であったり、最悪の場合、聞き手は自分が知識や判断能力の無い者として侮辱された、と捉えている可能性もあったりするわけです。

全ての人がそれ程強く反応するわけではないとは思いますが、そうしたリスクはできるだけ避けたいですよね。些細なことのようですが、ぜひ皆様お気をつけ下さい。特に、何となくネイティブっぽくなるかと英語になった途端に大げさな表現を多用することがありますので、ご注意を。では、締めくくりとしてその記事から一言引用します。

As an entrepreneur, you are far better off having me determine that your market is “massive,” your founders are “brilliant,” and your product is “elegant,” than to tell me that your company has “an elegant solution serving a massive market designed by brilliant founders.”
君が起業家だったら、君の狙っている市場が「巨大」か、君の共同創業者が「すごく優秀」なのか、君の製品が「エレガント」かどうかの判断は私(VC)に委ねたほうがずっとましだろう。君自身が「当社はすごく優秀な者達によって創業され、エレガントなソリューションを巨大な市場に提供しております」なんて言うよりね。

今日はこの辺で。ではまた。