tech venture business » Archive of '6月, 2007'

プラットフォームとウィジェット経済

どうも。iPhoneいよいよですね。正午現在オフィスの目の前にあるAT&Tストアでは10数名ほどしか並んでいませんが、2ブロック先のAppleストア前ではかなり盛り上がっていました。並んでいる人々の写真を撮っている観光客も多かったですけどね。いずれにせよ恐るべしジョブズ教。

さて今日は、ガジェットつながりということで、ウェブ上のガジェットとかウィジェットと呼ばれているものの話をちょこっと。

最近インターネットポータル系だけでなく、FacebookだとかMySpaceだとかのSNSがプラットフォームを開放して、誰でもウィジットが創れるような動きがバタバタと見られますね。こういったウィジェット類は、そのプラットフォームにクールな機能を付加するのでユーザーは喜ぶし、プラットフォーム側にもウィジット開発側にもトラフィックの恩恵があってバイラルマーケティングになりそうだ、でもお金にするの難しそうだな、くらいの理解しか私はなかったのですが、多分それより先のものがあるのでしょうね。

と感じるに至ったのは、先日のグーグルの発表、Google Gadget Venturesなるものを開始するとの件。これはGoogle用にすごいウィジェットを創ってくれる人にグラントやシード資金を提供するもの。あれだけ大量にいる自社エンジニアではなく3rd partyのディベロッパーに資金を提供してまで開発させるということは、このウィジェット経済、それ程儲かるってことなのでしょうか。

Google Gadget Ventures is a new Google pilot program dedicated to helping developers create richer, more useful Google Gadgets. Inspired by the success of iGoogle, which has been driven by the creation by 3rd-party developers of a broad range of gadgets, Gadget
Ventures provides two types of funding:

1. Grants of $5,000 to those who’ve built gadgets we’d like to see developed further. You’re eligible to apply for a grant if you’ve developed a gadget that’s in our Google gadgets directory and gets at least 250,000 weekly page views. To apply, you must submit a one-page proposal detailing how you’d use the grant to improve your gadget.

2. Seed investments of $100,000 to developers who’d like to build a business around the Google gadgets platform. Only Google Gadget Venture grant recipients are eligible for this type of funding. Submitting a business plan detailing how you plan to build a viable business around the gadgets platform is a required part of the seed investment application process.

これって、見方を変えれば、グーグルのインキュベーションビジネスの始まりとも言えなくもなさそうですね。GoogleなんとかVenturesというのが今後さらに出てきたりして。

このウィジェット経済が上手く機能するのであれば、あらゆるプラットフォームにウィジェットを提供するソフトウェアベンチャーだけでなく、個人でコツコツ面白いものをつくっているディベロッパーもフリーランスで食べていけるのですかね。でも、競争は今後益々激しくなるでしょうから、かなりのトラフィックを得るようなものを創るにはやっぱり結構なリソースが必要になってしまうんでしょうか。

このプラットフォームと3rd party ディベロッパーとの相互依存による成長、とった図式はこれから更に加速しそうな気がします。パソコンだけでなく、携帯電話やゲーム機(近頃あの任天堂さえもオープンになってきましたね)など様々なハードウェアプラットフォームもその流れですし、インターフェースの抽象度が上がって其々のハードやネットワークレベルの知識もいらず、どれにも同じようにアプリケーション開発ができてしまうんでしょうね。そうなると、ディベロッパー側にはかなりのチャンスが訪れると思う反面、何が差別化要因になるんだろう、何が競争優位になるんだろうというのが結構悩ましいように思うのですが、どうなんでしょう。この辺の話にお詳しい方、ぜひご教示下さい。

取り留めない話ですが、今日はこんなとこで。皆様良い週末を。

良いものは良い-「特殊」への微々たる反抗

どうも。昨日にぎわっていたパラダイス鎖国関連の話は私も色々と思うことがあり、まともに書いてみようかとしばらく考えておりました。でも、なんだか纏まらず、掘り下げるとある意味とてもプライベートな問題意識のような気がして…。なので、鎖国問題そのものの議論からはそれる部分で、短い雑感を。

日本の特殊性というのは色々なことで言われますし、日本人の多くも言うことですが、私はかなり違和感を覚えるんですね。日本人の中にも違いはたくさんあり、アメリカなんかでは個人差はびっくりするほど大きいわけで、隣の太郎さんよりも遠く離れたビルさんのほうが、よっぽど自分と考え方も趣味も嗜好も似ている、ということはあると思うのです。グループ化の根拠として日本人であることがあらゆるレベルにまで介入するということが、私は妙にダメなわけです。いや、すごく好きですけどね、日本。

で、何が言いたいかというと、日本のものは日本でしか通用しない、と思い込むのはちょいと安直ではないかと。そもそも「通用する」という上下関係を認識したスタンスは如何なものかと思うわけです。元が海外に存在するものからコピったようなサービスは別として、日本でうまれて日本の誰かが面白いと思うものは、海外でもやはり面白いと思う人がいるのだと。だから、日本のみでやっていきたいという積極的な選択はありだとしても、広く狙っていきたい方はぜひそうすべきだと思うのです。

ギーク雑誌のWiredではJapanese Schoolgirl Watchというコラムが長いこと連載されています。(今月はこれ)ただのネタみたいな場合もありますが、基本的には「日本の女子高生をみれば次の流行り物がわかる」といったスタンスで書かれているわけです。次のトレンドとして注目するような新しいものが、それだけたくさんあるわけで、それがセンスの良い記者によって多数のWired読者に伝わっていることは、ガジェット王国のブランド確立には大いに役立っているのだと思います。(ちなみに記者のBrian Ashcraft は日本在住、Kotakuでも書いてます)

外の同志を求めるためにはこういった情報発信は必然になります。ただ、これはその当事者が英語で発信するということに限られる必要はないはずです。コンテンツや物や人ですばらしさを具現することで、興味をもってくれた英語圏の人を引き込んでその人に(ブログ等で)広めてもらったり、カンファレンスなどにも無理しないで通訳をしっかりつけて登場してみるとか、すごくアラい話で恐縮ですが、自分だけが無理しなくても2次3次情報を上手く活用して情報発信していく術はあるのではないかと思うわけです。この辺はもっと考えていきたいと思いますが。

というわけで、取り留めなくなってしまいましたね。それにしても我々は日本人論とか日本国論、結構好きですよね。それはそれで非常に真摯で良いことだと思う反面、何というか、個人が日本人という枠組みで規定されること無く、ある程度力を抜いて、やりたいことをやりたい場所でできないものかと思ったりします。まあ、それでも日本人や日本が良い意味で注目されたりすると、嬉しくなっちゃったり励まされちゃったりするので、矛盾してますが。

今日はこんなとこで。 ではまた。