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最初の100ユーザーを獲得する方法

スタートアップのマーケティングに携わるようになってかれこれ数年経ちますが、これ、すごく重要な話です。

通常「マーケティング」としてイメージされる活動(例えばPRや広告など)は、既にある程度ユーザーやクライアントがいる状態で、さらに伸ばすことには使えますが、始めたばかりの、ユーザーを0から100にもっていくフェーズには不向きです。

そういった施策を使って100ユーザーをゲットすること自体が悪いわけではないのですが、お金がすごくかかる割に学びが少なく、その後100から1,000またその先へ、とユーザーを増やすための基礎を築き難く、ユーザーからのエンゲージメントが低く、入っては抜けていくザルのような製品になって苦労します。

ではどうするのが良いのか。Kissmetrics等で知られるHiten Shahの先日のブログ記事を引用します。

  1. Practice $0 marketing to start building a customer base without going all in on expensive paid acquisition.
    (広告などの高額な有料チャネルにガツンと投資することなく顧客ベースを築くべく、無料マーケティングを実践する)
  2. Talk to each of your customers to understand their actual problems and needs.
    (顧客の一人一人と話して実際に抱えている課題やニーズを理解する)
  3. Identify your most successful customers—and learn to let go of the customers who might not ultimately be the best fit for your product.
    (最もフィットする顧客を見つけ、そうではない顧客を手放すことも学ぶ)

リーンスタートアップや顧客開発をかじった人には馴染みやすい話だと思いますが、伝統的なマーケティング畑から来た人などには???なことが多いので注意しましょう。

この段階で先に急ぎたい気持ちを抑えて踏ん張って、誰が本当に顧客なのか、自分の製品は何を解決しているのか、価値をどう伝えれば良いのか、を学ぶことが後の成功に繋がります。Paul Grahamの有名な言葉 「Do things that don’t scale」に通じる話ですね。

上記3つのポイントを実践したスタートアップの事例などもありますので、興味のある方はぜひ原文を読んでみてください。

ちなみに、従来のマーケティングと分けるため、この段階の活動をuser acquisition、後にユーザーをガンガン増やす段階の活動をgrowthと呼ぶこともあります。この辺はまた別の時に。

ではまた。

買い物袋と出費の関係

今日はちょっと趣向の違う話なんですが、ちょっと面白い話を読んだので。

皆さんはお買い物時にマイバッグを持参しますか? 多分日本でも色々と取り組みがあることと思いますが、ここサンフランシスコでは原則レジ袋は2012年の10月から禁止になりました。必要な人はひとつ10セントを支払う必要があり、多くの場合は紙袋がでてきます。(ちなみにスーパーや八百屋だけでなく、デパートや洋服屋さんなんかでもそうなので、訪問の際はお気をつけあれ。)

で、このマイバッグですが、ハーバードビジネススクールで進行中の調査によると、「規制ではなく自主的にマイバッグを持参する人は、オーガニックの品物を買う傾向が強く、且つ、アイスクリームやクッキーなどの嗜好品をより多く買う傾向がある」のだそうです。

環境に気を配ったりする人がオーガニックを買うというのは分かりやすいですが、面白いのは、スイーツとかいっぱい買っちゃうという点。エコな人はなんとなく健康そうなイメージもありますけどね。これはこのリサーチャーによると「マイバッグを持参して環境に配慮した自分に対するご褒美」的な心理が働くのでは、とのこと。

まあ、そんなものかもしれませんが、ハーバードでは結構細かいことが研究されてるのね、と思ったり。消費者として知っておくとよいのは、今度お買い物中にデカダンスなものを買いたくなったら「身体が欲してる!」とかこじつけないで、「バッグ持ってきたからかも」と自制できる可能性ありってことでしょうかw。

逆に売る側にとっては結構おいしい情報なわけで、同様の相関を持つものを並べて陳列すると売上げがあがるといったことがありそうです。例えば、バッグのことをちょうど考えているであろうレジのそばにオーガニック商品やエコグッズを置いたり、はたまたチョコレートの隣に有機の青菜を置いたりですね。

こういう心理的な「ご褒美」支出ってのは色んなところにあるのかもしれませんね。Eコマースやゲーム系アプリなどを作るときには注意を払うとよいかもしれません。

では今日はこの辺で。