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アプリ内課金の評価指標

スマートフォンアプリのビジネスモデルの柱ともいえるアプリ内課金ですが、その有効性を正しく認識し、必要な手を打てているでしょうか?

その為にはまずは正しい指標を正しく計測してモニターすることが重要ですが、皆さんはどんな指標を使ってますか?GoogleやZyngaでPMなどをやっていたKenton Kivestuが「単純なARPUだけでは足りない」として、ファイナンスで良く出てくるROEのDuPont分析からアイディアを得た指標について述べています。

彼が一案として提唱しているのはTPR(Transactions Payers Revenue)方程式という以下のものです。

さて、この方程式の要素を個別に見てましょう。

Rev/DAU - これはいわゆるARPUですね。どれだけユーザーをマネタイズできているかの全体的な指標です。

Payers/DAU - これはデイリーユーザーのうちどれだけの人がお金を払っているか。

Revenue/Transactions - これは各トランザクションが幾らの価値だったか、ということ。数種類の価格帯を提供している場合に必要です。

Transactions/Payers - これは有料ユーザーが平均何回トランザクションをおこなったかを示します。

彼は記事中で二つのプロダクトの例をあげています。デイリーユーザー、一日の売上げ、ARPU、全てが同じプロダクトがあるとします。これしか指標をとっていないと何の違いも見られません。ところがひとつ深彫りして、有料ユーザー数、トランザクション数をみると、違った絵が見えてきます。それらを上記の方程式上の指標で計算して見てみると、どうでしょう、以下のチャートのような結果になります。

製品Bの場合、有料ユーザーの割合が既に5%あり、これはかなり良い数字です。なので、これをもっと上げようと考え施策を打っているとすると、ストレスが溜まるはずです。がんばって5.1%になったとしても、収益へのインパクトは多くありません。むしろ、トランザクションごとの収益は非常に少なく伸びしろが大きいので、そこにフォーカスすべきでしょう。

単純な例ではありますが、現実的には、アプリに限らず、きちんと見るべきものを見ていないが故にトンチンカンな施策をうっている場合はたくさんあります。無駄な労力で疲弊しないよう、マネジメントにあたっている人たちは、このへんきちんと考えましょうね~。

では今日はこの辺で。

 

 

スタートアップの成功はTシャツから

おしゃれな日本の皆さんにとってはちょっと不思議かもしれませんが、当地スタートアップでは、基本のスタイルはTシャツです。(特にエンジニアの方々)

何の変哲もないものや卒業した大学のものから、小ジャレたメッセージ性の高いものまで様々ですが、スーツやビジネスカジュアルに反して、Tシャツで仕事に行けるというのは、まあ自由なスタートアップカルチャーの一部なわけです。

で、そのTシャツですが、「自社Tシャツを作ることが実はすごく重要」という話を最近読んだので紹介します。LinkedInなどを経てきたAdam Nashはブログで5つの理由を述べてます。以下要点を抜粋して、コメントを付します。

1.Empowerment (エンパワーメント)

Giving out t-shirts tells your employees, implicitly, that you get it.  You hire only the best, and the best can wear whatever they want.  It says you know that you value merit over appearance; a working prototype over an MBA.

会社が社員の優秀さを評価しており「見た目より実」な価値観を共有している、ということを暗に示すことができる。

2. Incentives (インセンティブ)

Let me just tell you, free t-shirts evoke some sort of primal response at a high tech company.  …..

You’d be shocked at what a $200 per person per year budget for t-shirts will do for employee morale comparatively.

同様の額のものを現金や他の物であげると返ってマイナスなこともあるが、Tシャツはとにかく喜ばれる。一人につき年間$200のTシャツ予算が従業員のモラルに与える影響は計り知れない。

3. Tribal Cohesion(同族の結束)

It may sound subversive, but t-shirts can provide many of the same benefits of camaraderie and tribal cohesion that uniforms did, without the top-down oppression.

制服には自由には相容れないが仲間意識を与える利点があるのは確か。Tシャツは(色やデザインなどバリエーションがあるので)押し付けの制服にはならず、その良い点を享受できる。

4. Tenure Based Seniority (在職期間による序列)

High tech companies are largely meritocratic, and as they grow they tend to define roles based on skills & experience rather than “time at the company”.  However, there are positive aspects to rewarding those who have “bled for the company” over the years, and put their hearts and souls into building the business.  T-Shirts, in an innocuous way, implicitly do this by almost always becoming “limited editions”.

基本的に実力主義でポジションは年数に関係ないが、時に厳しい立ち上げの時期から支えてきた古株に敬意を示すのは良いことだ。それはTシャツを機会ごとに「限定」でつくることで、暗に達成できる。例えば今では数百人の規模に成長したが、数年前のVersion 1.oローンチを記念したTシャツはそれを牽引した10人しか持っていない。それは新入りには羨望に値するもので、古株はプライドを感じる。

5. Branding (ブランディング)

While being careful not to interfere with the uniqueness of shirts given to employees, make shirts for your developers, your fans, your early adopters.  Long before they become vocal advocates for your brand, they will gladly showcase it if you let them.

自社や自社製品が好きな人たちは、何の制限もかけなければ、頼まないでも自社を勝手に宣伝してくれるありがたい存在だ。Tシャツをあげれば、喜んで各所で着て宣伝してくれる。上記4の理由から社員用のものとは別のものにする必要があるが、外向けのTシャツもガンガン作るべし。

どうでしょう。Tシャツをつくるコストは低いですが、その恩恵はかなりのもの。皆が着たくなるようなデザイン、色彩にすることで、その効果は更にアップします。会社のロゴが入った1パターンのものではなくて、限定品でたくさんつくる、というのは確かに良いですね。

スタートアップには良いチーム・組織作りが欠かせません。デザインや質にはちょっと手間もお金もかけて、欲しいと思われるものを様々な機会限定やチーム限定で作ってみるのは、すぐに実行できるなかなか良いアイディアなのではないでしょうか。ぜひお試しあれ。

では今日はこの辺で。