7-28-2008

不況下でのエグジット

どうも。今日は不況とM&Aの関係についてちょこっと。

今月初めにアメリカではM&Aも減っているということに触れましたが、今日目にしたレポートによると、この状況下でテクノロジー業界はそれほどひどい影響は受けていないものの、やはりM&A件数・額共にかなり減少しているそうです。

一般的に、景気が悪くなると各社財布の紐を引き締めますので、どうしても必要なもの以外には手を出さなくなり、その選択はより慎重になり長期化する傾向があります。

「どうしても必要」という基準は各社様々ですが、概ね保守的になりますので、私が通常扱っているような「攻めの先行投資」的な案件は外的要因(e.g. 候補として検討していたA社をライバルが買収しようとしている等)がないと難しくなりがちです。但し、現金を大量に保有していて、このような景気状況でも強気に行けるような企業にとっては(e.g. グーグル、マイクロソフト)競争相手も少なく、選り好みでき且つお得にお買物ができる嬉しい状況であるとも言えます。

それから、通常でも売却の準備をしてからクローズするまで平均して半年はかかりますので、更なる長期戦になることを予測して動くように注意して下さいね。

一方で、安定した収益をあげている企業や、本来良質なのに何らかの事情で破産寸前だったり株価が非常に低くなっているような「低価格」な企業は、そうした案件が好きな会社にとっては格好のターゲットになります。テクノロジーベンチャー企業では少ないケースですが。

また買収側の株価が低く金回りが悪い状況なので、株式交換や買収の為に多額の資金調達の必要があるような、つまり手持ちの現金以外の買収案件は成立が難しくなります。逆に言えば、$20MくらいのテクノロジーベンチャーのM&Aにはそれ程影響はないので、大手の戦略にフィットする良いものをもっているベンチャーには引き続きエグジットの機会が開かれているということです。

というわけで、景気がどうだとか統計が何を示そうが、ベンチャー企業はbusiness as usualで前進するのみ、だと思います。運とかタイミングとか、あんまり考えすぎてもしょうがないってこともありますから。

さて、このレポートの中で意外なものが一つありました。それはこのドル安の状況下においても、アメリカ企業が他国の企業をかなり買収しているということです。Q2の数字では全体の40%弱がこうしたクロスボーダー取引ということですが、これはテクノロジー業界においては「良いもの」であればどこにあろうとかまわない、というグローバルな状況が現れているものと思います。

中々のレポートでしたのでこうした統計に興味のある方はぜひ参照してみて下さい。

では今日はこの辺で。

7-1-2008

エグジットが危ない!

Filed under: ビジネス of ベンチャー, M&A, IPO — author @ 8:45 pm

どうも。あっという間に下半期突入ですね。

そんな節目のニュースで大きかったのが、昨日閉じた第2四半期において、VCマネーの入ったベンチャー企業のIPOが一件も無かったというものです。この記事によると、そんなことは30年ぶりらしく、業界団体のNVCAは、これは警告であり危機的状況だという強い表現をしています。

彼らのサーベイによると、IPOが枯渇していることの要因として以下が順に挙げられているそうです。

1. Skittish investors
2. Credit crunch
3. SOX

で、このような状況は投資家にも起業家にとっても良くないので、これから民衆・政府に対して働きかけをしていくと息巻いています。業界団体なのでこういうスタンスは当然かもしれませんが、どうなんでしょう、そんなに危機的でベンチャー企業のIPOが「不当に」妨げられている部分があるのでしょうか。

今は株式市場の状況が非常に悪いですから、IPOする準備をしていてもタイミングを先延ばしにするということは致し方ないので、たまたま今回が0であっただけかもしれません。(実際そのような企業は現在22社あるそうです) そして、SOXに関しては基準の問題で検討の余地があるかもしれませんが、その事自体がIPOを妨げているというのは、おかしい議論のような気がします。(エグジットしたい投資家の気持ちは分からなくは無いですが、公募するわけですから…)

で、実はもっと深刻だと思うのは、ではM&Aが増えているかというとその逆で、M&Aの件数は昨年同期比で42%減少していることです。景気が悪くなり先行きが不透明なことから、大企業が出費を控えているというのが一番の要因ですが、要はIPOだけでなくエグジットそのものが厳しい状況にあるということです。

でもこればかりは景気の影響で仕方が無いところもあるので、ベンチャーの側では、常に選択肢を見ながら、キャッシュをしっかり持っておくしかないですね。M&Aのサービスをしている私としても、何とか食いっぱぐれないようにしないと…

とまあ、こんな暗いデータではあるのですが、実は考慮に入っていないことも幾つかあります。

一つは、これはVCマネーの入ったベンチャーについての数字なので、最近の「必要資金の少なさ」傾向に沿って、エンジェル投資或いは自己資金だけである程度成長するか、またはかなりの早期に買収されたベンチャーは結構あるかもしれないということ。

二つ目は、Q2において被買収企業の平均「年齢」は6.9年だったのですが、ということはバブルがはじけてから回復するまでに創業された企業も多いわけです。例えば2001年に投資をうけたベンチャー数はかなり少ないですから、そもそも母集団として的確なベンチャー企業数が少ないという可能性もあります。

これだけの「年齢」だと、VCの側からすればかなりのエグジット圧力がかかるので、この景気状況はかなり歯がゆいところですね。 個人の資産形成のためにも、起業家精神保護のためにも、ぜひぜひ、市場が回復することを祈りましょう。

では、今日はこの辺で。

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