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ドットコム時代と今のWeb2.0の違いとは?

最近、Web2.0といった、次世代のインターネットの取り組みが賑わっていますね。日本ではIT関係者以外でどれくらい社会にインパクトを及ぼしているか知らないのですが(少なくともうちの家族のようなITに疎い部類には伝わってないようです)、私が住んでいるここサンフランシスコ・シリコンバレー辺りでは、結構な広がりを見せているようです。Web2.0企業がかなりの数生まれてきていて、VCの投資もかなり積極的に行われていて、数年前のドットコム時代を彷彿させるノリを感じます。今の環境がバブルかどうかは様々な議論がなされていて(例えばあるVCの意見としてこれ)意見が分かれるところですが、個人的にはとても興味深く何というかワクワクしています。

というのも、これまでことごとくバブル的なものに縁がなかったのです。日本での、女子大生ブーム(皆さん覚えてますか?)の際には若すぎて、女子高生ブーム(こんなのもありましたよね?)には年寄りすぎて、バブルを謳歌するには若干わかくて就職する際には氷河期で。アメリカを中心としたドットコムブームの際には日本にいて大企業中心の仕事をしていたためあんまり感覚がなく、2000年にはアメリカ中西部で働いていたためちょっとその片鱗には触れましたが基本的にはバブルは弾けていて…と、まあ、見事にかすってきたわけです。

そんな訳でひねくれ者になる土壌はしっかりとあって、バブル的なものには懐疑的なのですが、今回はある程度渦中にいるので、ぜひ客観的に動きは把握していきたいなと思ってます。

前置きが長くなりました。個々のWeb2.0企業については日本語でもかなりのニュースやブログが出回っているようですので、ここでは個々の企業ではなく、構造に関する話を書いてみます。

そこで、皆さん、ドットコムブームと昨今のWeb2.0ブームの一番の違いは何だと思いますか?

私はゴールイメージだと思っています。前者ではIPOが多くのスタートアップ企業やVCにとって目指すところであったのに比べて、後者ではIPOの話はあんまり耳にしないかと思います。Grouperの買収以後”YouTubeがいくらで買収されるか?”といったような憶測やニュースが毎日のように伝えられています。これは関係者の現実的なExitの期待がIPOではなくM&Aにあるということを示してると思われます。(少なくともUSでの話ですが)

理由は”さめたIPO市場”を含め幾つかあると思いますが、前回のブームとそれ以後に得た経験を元に、以下のような認識の変化が起きたという事に主な要因があると考えられます。

1) 市場が通常である場合、IPOへたどり着くには様々な側面で都度正しい決断をしていかねばならずリスクはかなり高い。 M&Aの方がliquidityへの時間も短くリスクも小さい。
2)そもそもIPOは始まりであって終わりではない。IPO後の道のりは更に険しい。
3)ビジネスモデルやテクノロジーによっては一企業としてグローバル社会の中で発展していくほどの広がりのないもがある。むしろ既存の製品に対する付加価値やフィーチャーであったりして、既存企業と統合することがベストな選択である場合が往々にしてある。
4)新たなテクノロジーが生まれるスピードが速く、既存企業が自社の競合優位に必要な技術を社内のR&Dだけで賄うのは非現実的で、買収を活用することも有用なオプションである。

それぞれの点については後日また詳細を述べたいと思いますが、全体としてこの変化は企業家にとっても投資家にとってもそして既存企業にとってもより現実的なアプローチだと言えます。IPOがありえない訳ではもちろんないですが、シビアな取捨選択がなされることは必至です。

Web2.0企業に関してこれからいくつのM&Aがおこるか予想はできませんが、おそらく、莫大で良質な顧客層をもつ企業、或いは既存の企業が現在保持していなく且つ保持すればかなりの戦略的アドバンテージを得ることができるようなコアテクノロジーを開発している企業は良いM&A ターゲットになるでしょうし、そういったものを持たない企業は細々とやっていくか、何れ淘汰されていくのではないかと思います。

日本ではどうなんでしょう?

今回はまずWeb2.0を基点としてスタートアップを取り巻く環境を大まかに書いてみましたが、今後より深く掘り下げてお伝えしようと思います。

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