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悪ガキとか暴れん坊とか

どうも。また一週間の始まりですね。前回のエントリーはたくさんの方に見て頂いたようで嬉しい限りです。

さて今日はとある起業家の話。今日のGigaOMでSean “wild boy” Parker Returnsというタイトルのエントリーがありました。
Sean Parkerという名前に聞き覚えがある方はそんなにいないと思うのですが、どうでしょうか?

彼は実はNapster、Plaxo、Facebookという3つのベンチャーの共同創業者であり、それぞれのベンチャーで一時期CEOか Presidentとして初期を牽引してきた起業家です。そして昨年終わり頃からはPayPal創業者のPeter Thielが始めたFounders Fundというベンチャーキャピタルでパートナーをしています。そんな経歴でも現在まだ28歳という若さ。

彼を形容する際には”wild boy” “bad boy” “notorious” “colorful”等の言葉が良く使われるようで、メディアによって作られた部分もあるでしょうが、概ね暴れん坊だが華のある人と認識されているようです。その認識は、これらの新鋭的なベンチャーを立ち上げてきたトンガリ度、激しい性格ゆえか各ベンチャーから途中で追い出されていること、その際の様々な逸話、そして若さと夜遊び好きな私生活等からきているようです。そう濃い人はそんなにいる訳ではないので格好のタブロイドネタになっているという点も否めませんが、なかなか興味をそそることは確かです。ググるといろいろ出てきますが、詳細にご興味ある方はこちらのSean Parker関連記事をどうぞ。

そんな彼に対しては賛否両論もちろん色々とあるわけですが、多くの人が認めているようなのは、コンシューマーインターネットサービスにおける嗅覚の良さ。経営者としてはまだ実力を発揮していないものの、これは当たるというものを見つけて事業化することを、確かに非常に高い確率で行ってきているわけです。そこで彼をあのSGI創業者でその後Netscape等数々のヒットに関わってきたJim Clarkに例える人もいます。ご興味がある方は、彼を知る友人が書いたこのエントリー(Sean Parker as Jim Clark 2.0, and the return of the dotcom boom)はなかなか面白いのでぜひご参照あれ。

冒頭に挙げたGigaOMのエントリーでは、このSean Parkerがどうやらactivism(政治改革等の社会運動のこと)関連のベンチャーを始めたらしいというニュースを伝えているわけですが、まだ内容も明確に分かっていない噂の段階で取り上げられるというところに、いかに多くの人が彼の嗅覚に関心を寄せているかが窺えます。

Jim Clarkについて記したMichael LewisのThe New New Thingに詳しいのですが、時代の先を読むというか感じる、そして現実化することができるという才能はやはり只者ではなく、「この人がやることに目をつけていれば何か面白いものが出てくる(或いはお金になる)に違いない」と周囲の人が思うということは、それはもう一線を超えたレベルなのだと思います。起業家というよりはビジョナリーとしての価値ではありますが。

こういった尖ったやんちゃな若者が活躍できるというのには、やはりアメリカの価値観そしてシリコンバレーの深みがあるのだと思います。レベルは異なるものの、先日のライブドア判決を見て、まあやはり討たれるんだろうなと思ったり。このあたりは婉曲的に言えば個性的な人が多く疲れることも多いのですが、一方で、そういった濃さに私はある種の憧れを感じる事があります。自分がどうしようもない位に普通だからなんでしょうね。

変わっていなければ面白いアイディアを体現する起業家にはなれないというわけでは勿論ありません。色々なタイプの人が様々な成功の形を達成しています。ただこんな人もいるんだよ、ということをお伝えしたかったまでです。インターネットサービス系のベンチャーをされている方はこのRed Herringのインタビュー記事等から彼の「当たるサービス」観を参考にしてみるのも良いのではないでしょうか。

ではまた。