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お子様がVC投資を決める時代

どうも。いやー寒いですね。一年中涼しい代わりに暖冬のはずが…なんだかハズレくじを引いちゃった気分です。年末の東京帰省で暖かいお風呂に毎日入れると思うと顔がほころんでしまいます。そういえば随分前に当時国連でご活躍されていた明石さんが、「日本人は何故海外に根付いて活躍できないのか」という類の質問に対して「常に日本に帰って温泉につかりたいと思っているから」と応えていたのを記憶しています。確かにアキレスではありますな。そのために日本に帰るかどうかは別として、感覚としてお風呂はやっぱりいいよねー、というのは恐らく殆どの日本人が持っているものと思います。

さて、その感覚として直に分かる、という事についてちょっと考えさせられる記事が週末のNY Timesにありました。テクノロジー系ベンチャーに投資しているVCが投資先を選んだり、投資しているベンチャーの経営指南をする際に、自分の子供達等の身近にいる”若い人”の意見を参考にすることが増えている、というのです。

その背景は、特にSNS等のWeb2.0的なもの、World of Warcraftのようなオンラインゲーム、携帯でのコンテンツ等々の分野において、何が良いのか他より優れているのか、またこれからどんなものが流行るのか「自分でやらないから分からない」というのです。主として30代以上であるVCと違い、こういった技術を当然として育ってきた若い世代のほうが自然に分かるとも。

でもね、これって、安直過ぎないですか?最初は子供がやっているから興味を持ったとかは当然アリだと思うのですが、この記事で書かれているようなトーンだと、もっと広範囲に自分の子供という少数の断面的感覚が幅を利かせちゃいそうですよね。起業家は自分の人生を賭けVCからの投資を確保するのに躍起になっているというのに…。私は30代でこの記事によると”分からない古い世代”みたいに言われていることもプチッときたのか、なんだかもやもやした何とも言えないものが沸いてきました。まだ考えがまとまっていないのですが、プチッときた勢いで違和感って言うか不快感みたいのをまずは取り合えずバラバラと書いてみます。

* いつの時代にもオジサンやオバサンには分からない若者の中で流行っていることや言葉や気持ちみたいなものってあったのでは?

* 半導体とかハードウェアとかインフラ系ソフトウェアとかのベンチャーに投資する際には、自分はそういった分野のテクノロジストでなくとも、専門家の意見も聞くなどしてロジカルにビジネスの見込みを評価して投資してきたはずで、いつも”感覚として分かる”わけでないのではないか?

* いくらコンシューマー向けで”自分達大人向けではない”ように見えるものでも12歳位の子供は中心のユーザーではないはず。そんな低年齢層を狙っているビジネスはそもそも成り立たないし、彼らの1年毎の違いは大きく数年後に高校生になった頃にはまた全然違う嗜好を持っているので数年後のターゲット層として考えるのもおかしいのでは?

* こうしたビジネスをしている大人がロジカルに考えて理解できない場合は、そのベンチャーはそもそも何かの問題を解決していないのではないのか?

* アメリカでは特に子供の話をすることとか、子供を会社のパーティーに連れてきたりということが微笑ましく思われることも多いが、このVC関与は行き過ぎなのではないか?自分で手を染めて考える事を放棄していないか?ファンドから数%もの管理費を払っている機関投資家はどう思うことか?

* 従来からあるように本当の対象ユーザーのグループから意見を聞くとかではなく、どうして自分のところのいわゆる裕福なお家の子供なのか?これって働いている事で子供と多くの時間を過ごしていないという罪悪感の裏返しで、自分の子供と興味を共有するという極めて私的な努力の一貫なのでは?

* 子供にとってもビジネスを知るいい機会だという正当化は、如何なものか?「うちの11歳の娘が”彼らのビジネスモデルはよくわかんない”なんて言うのよ」とか言うのは、ちょっとcompetitiveな要素があったり、自分みたいに振舞う子供を喜ぶというのは、何ていうかペットに洋服着せちゃうようなエゴっぽいものではないのか?

ちょっと爆発してしまいました。こんな事書くと、VC嫌いとか子供嫌いの人非人とか言われそうですね。

上で挙げた批判見たいなものは、VCがちゃんとその仕事をしていないんじゃないか、という疑問の類なのだと思います。でも、気になるのは、本当にどこかのラインで埋まらない世代間ギャップみたいなものが生じてきてしまっているのだろうか、ということ。

この記事でも触れていますが、90年代のインターネットバブルの際には、若い人の意見を聞くなんて事はなかったそうで、VCも自らどっぷりつかって Amazonで本を買ったりNapsterから音楽をダウンロードしていたらしいのです。それが今回は「分からない」というお手上げ状態。Web2.0関連はやはりバブルでピンと来ないものに無理やり投資すべきではないということなのか、それとも実際の年は何であれ、頭の固くなってしまった人には「分からない」という領域、或いはやる人=分かる人、やらない人=分からない人という領域にインターネット関連技術が来てしまったのか…?   皆さんどう思われます?

纏まりの無い話になってしまいました。当面のところ、インターネット関連でVC投資にお悩みの方は通常通りにVCにアタックするのではなく、その子供達に売り込むのが良いかもしれないですね。向こうがその気ならその裏をかくというのもアリでしょう。

あ、それから、日本風の湯沸しシステムの深ーいお風呂ってこの辺でも手に入るのでしょうか。知っている方がいらっしゃたらぜひ教えて下さい。 では。

2 comments to “お子様がVC投資を決める時代”

  1. 寒いですね~。

    アントレプレナーは、「自分の欲しい物を提供する」という以外にも「自分が欲しくなくても、誰かが必ず欲しがっている」というニーズを見つけて事業家できるセンスが必要だと思います。

    VCの場合は、より多岐に渡る方面を見るのですから、そのセンスがアントレプレナー以上に研ぎ澄まされていなければ仕事にはならないでしょうね。
    特にWEBサービス関連において「子供に聞く」は一理ありますが、そもそもその子供にとって興味のないことであれば、どういう答えが返ってくるかは想像するに難しくありませんし、「子供」というターゲットを一くくりにするのは、tech ventureさんのエントリーにもあった「ブロガーを狙う」みたいな話で雲をつかむようなもんですな。

    子供の頃を振り返ると、周りにいろんな子供がいたはずで、あることに興味のある子供もいれば、そうでない子もいましたね。
    例えばガンダムに興味があって、一日中ガンプラを作っている子もいれば、そうでない子もいる。
    実は、「興味の範囲」で言えば大人とそう変わらないはずなんですよ。
    あと、子供は大人以上に流されやすいですから、その辺は注意が必要です。
    自分が10代の若者だった頃を思い出すとそう感じますね。

    風呂は昔、ちょっと調べたことがあるんですが、
    http://at-house.myshopify.com/products/takagi
    ↑これとか設置して、

    http://www.gooditem.co.jp/superhurobance/
    ↑これで追い炊きとかすればいいかも知れません。

    湯船は確かもっと他にもあったような気がしたのですが、今度また見つけたらコメントしますね。

  2. いつもありがとうございます。

    そうですね、子供の興味の範囲は大人とそれほど変わらないかもしれないですね。ただこの位の年だと学校での人間関係とかが生活の多大な部分を占めるので、そのプレッシャーで流行のものをやる傾向はありますよね。逆に考えるとその流行自体も、一握りの人気者の子がたまたま好きで広まった、とかあるかもしれないし、熱すのも冷めるのも早いもんですよね。
    対象はせいぜい子供心をもった大人くらいにとどめておくべきだと思います。インターネットに関するセグメンテーションはあんまり年齢とは関係ないような気もしています。

    お風呂の件、ありがとうございます。最近はウォシュレットみたいなのも売っているくらいだからそろそろお風呂文化を広めたいと思うんですけどね。
    ちなみに、このアメリカ版ウォシュレットの会社(Beondell)のファウンダーってGrouperのプレジデントやってたDave Samuelなんですよ。

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