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起業家の給与はどのくらい?

先日、起業家はラーメンで生きのびるという話を書きました。では実際、懐具合はどんな感じなのでしょうか。OnStartupというブログで、ITベンチャーの給与を調査した最近のレポートの抜粋がありましたのでその内の幾つかをご紹介したいと思います。

このレポートは2006 Compensation & Entrepreneurship Report in Information Technology2006 Compensation & Entrepreneurship Report in Information Technologyというもので319社1500名のエグゼクティブへの調査を元にしています。67%が売上$5M以下のアーリーステージのベンチャーという構成ですが、VC からの投資を受けていない企業から4回以上の投資ラウンドを経ているものも含んでいます。元のレポートを見ていないので細かい事は分かりかねますが、恐らくアメリカ国内の企業のみを対象としたものと思われます。

Founder Status: 創業者のステータス
29% of the executives completing the survey were founders of their company. CTOs and CEOs were the most frequent founders of their companies.
1500名のエグゼクティブの内29%が創業者で、創業者の多くがCEOかCTOである。

Cash Compensation: ボーナスを含む現金報酬
Average total cash compensation for the CEO $373k. For the CTO or head of technology, $192. The average total comp. for the Head Of Sales is $255k.
平均はCEOで37万3千ドル(約4400万円)、CTOや同種の役職では19万2千ドル(約2260万円)、営業トップでは25万5千ドル(約3000万円)である。

Equity Grant at Time Of Hire: 雇用時の株式付与
On average, the non-founding CEO receives a 5.04% grant to join the company (the highest of all positions surveyed). Incentive stock options are the most common form of equity granted. Stock options are increasing with frequency as a vehicle (whereas restricted and common stock grants are declining). Companies have reserved on average 16.26% of their fully-diluted equity for grants to employees and directors. Outside of the CEO and President/COO, the non-founder CTO holds the highest average equity percentage at 1.5%.
創業メンバーではないCEOはベンチャーに参与するのに、どの役職よりも多い平均5.04% の株式分配を受けており、同CTOは1.5%を受けている。制限付き株式や普通株の割合が下がる一方ストックオプションの形で付与されることが最も一般的である。ベンチャー企業は平均して16.26%の株式を従業員や役員用に引当ている。

Impact of Fund Raising: 資金調達の影響
With each additional financing round raised, the company moves towards a non-founding team. 62% of companies with 1 or fewer financing rounds had a founder as CEO. This drops to 44% for those that raised 4+ rounds. In general, founding executives earn less in compensation than their non-founding counterparts. In companies that have raised one or fewer rounds of capital, the founding CEO owns about a third of the shares. After two rounds of financing, this drops to an average of about 13%.
投資ラウンドが増すごとに創業メンバーが経営の中心ではなくなる傾向にある。ラウンドが1以下の場合62%の企業で創業者がCEOであるのに対し、ラウンドが4以上の企業では44%に下がっている。一般的に創業メンバーのエグゼクティブに比べて外部からのエグゼクティブの方が報酬が高いこともあり、ラウンドが1以下の企業では創業者であるCEOが会社の3分の1を所有しているのに対し、ラウンド2以降では持分は13%に低下している。

Base Salary: 基本給
From the survey, the base CEO salary increases with the size of the firm. $168k for companies with headcount of 1-20, $217k for 21-40, $232k for 41-75. CEOs of service-based startups (Services/Consulting, Systems Integration, etc.) make more in compensation than those in other segments like software and Content/Info provider. But, these same CEOs have less equity than those in the other segments.
CEOの基本給は従業員20名以下のベンチャーで16万8千ドル(約1980万円)、従業員21名以上40名以下で21万7千ドル(約2560万円)、 41名以上75名以下で23万2千ドル(約2730万円)である。コンサルティングなどのサービスを主にしたベンチャーは給与は他に比べて多いが所有株式は少ない傾向にある。

如何でしょう。この金額であればラーメンよりもっと高級なものが毎日食べられますね。基本給は相場として言われているよりは若干高めに思いますが、 VCから資金調達を受けているか受けていないかで相当違いもあるので、この調査ではその辺りが混ざっているというのが一因かもしれません。ちなみにアメリカの所得税や各種保険は高いので手取では35%引きくらいになります。

特にVCから資金調達を受けていないベンチャーではギリギリでやっているところが多いのも実情です。給与が出せるような売上が入るまでは全く無給というと場合もありますし、給与が出せる状態になってもギリギリに抑えてそれこそラーメンを食べつつ投資にまわすということもあります。以前私のクライアントでは北欧の寒い冬を一冬暖房無しで乗り越えたというツワモノ起業家もいました。

創業メンバーだけでなく従業員への報酬をどのようにするかというのは、なかなか難しい問題ですし、勿論ケースバイケースですが、このように平均という形で見てみるのもなかなか面白いですね。

3 comments to “起業家の給与はどのくらい?”

  1. お久しぶりです。
    僕の場合、初めて渡米してきてから、アメリカで一つの契約を取るまでは一切家具を買わない、と自分に言い聞かせてやっていましたね。
    何もない部屋で服を枕にして寝ていたのですが、カーペットって同じ場所で寝てたらそのうち跡がつくんですよ。
    ある日、「なんか死体の現場みたい」と思いましたねぇ。

    で、契約が取れて一番最初に買ったのはとりあえずベッドでした。
    その次の契約ではテーブルを、次の契約ではいろいろ悩んでソファーを。
    そして、それだけ揃うと実は特に何もいらないということに気づき、モチベーションが落ちました。(笑

  2. 中川さん

    どうも。またお立ち寄り頂きありがとうございます。
    う、すごい。カーペットの死体現場、想像はつきます、試したことは無いのですが…。同じ場所で寝つづけるというのもなんだか律儀ですね。チョークで線引きたくなっちゃいます。

    確かに最小限の物だけで生活していると、なんだ結構これだけでいけちゃう、っていうのが分かって物欲がなくなったりしますよね。一消費者として経済活性化に貢献しなくなるわけですが、そういう状況でミニマルに生きられるっていう事は起業だとか転職だとか、新しいことに挑戦してみようというときに結構役立つと思うんですよね。年取ると結構しんどくなったりするというのを実感するようになってきた私ではありますが。マイルストーンごとに自分に対するご褒美的なことを設定するのは良いことですね。物に飽きたら旅行だとか何かを観る経験するみたいな事に設定したりするのも良いかもしれませんね。

    そういえば、私がアメリカに来た当初、プロジェクトで3ヶ月ほどアパートを借りなければならない時があって、家具に関して同僚にアドバイスを求めたところ、「安いエアマットレス(空気を入れて使う巨大な浮き輪みたいな簡易ベッド)を買って使用し、30日間の返品可能期間の終わり頃に返品する、そして繰り返す、が常套」と言われましたね。さすがに日本人的良心が許さず実行しませんでしたが、アメリカでの返品許容度?はすさまじいものがありますね。

  3. そういや、返品に関してその昔、僕の知り合いで1台しかビデオカメラを持っていないジャーナリストがいたのですが、複数の取材を同時にやる際にはFry’sで必要な台数を購入して取材が終わったら返品、と繰り返していましたね。(笑
    で、それを繰り返しているとそのうちブラックリストのようなものに載ったのか、Fry’sで買い物ができなくなってしまったようです。(笑

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